胃がんはがん死亡の中で男性では肺がんについで第2位、女性では大腸がんについで第2位と相変わらず頻度の高い病気です(※1)。早期発見すれば今や治せる病気ですが、早期にはあまり症状もないためバリウムによるレントゲン検診が行なわれ、私も長らくその読影に携わってきました。
しかし、バリウム検査は実際に直接胃の中を見ている訳ではなく、数mm程度の早期がんを発見するするためには、よほどうまく写真が撮れていないと困難です。その点、内視鏡検査ではくまなく胃の中を観察出来、もしおかしな場所があれば胃の壁をごく少し採って調べる(※2)ことも可能ですので早期発見には大変有用です。
じつはこういったことはすでに分かっていらっしゃる方も多いのですが、内視鏡検査を躊躇される方が多いのもまた事実です。長年内視鏡検査を行なって来て患者様の苦痛の軽減について思うことは、まずは経験豊富な医師が最大限丁寧にやさしく行なうことが必須で、それに加えて患者様の協力(力を抜くなど)も大切です。
しかし現実には、まったく苦痛なく出来たというのは難しいようです。内視鏡検査が「苦しかった」、「涙が出た」などつらかった話はすぐに伝わりますので、一度も検査を受けたことのない人もしりごみすることになります。そこで、検査中ボーっとなる鎮静剤を事前に注射する方法もよくとられますが、残念ながら神経質な方ではカメラが入ったとたん目がサエてしまったり、また、逆に高齢者などでは薬が効き過ぎて呼吸が弱くなり危険な場合もあります。
【経口挿入】 |
【経鼻挿入】 |
経鼻挿入では内視鏡が舌の付け根に触れず不快や吐き気が起こりにくい。
<経口挿入と経鼻挿入>
最近登場した鼻から入れる経鼻内視鏡では口から入れる経口内視鏡と違ってカメラがのど元を通るときに舌の付け根に触れませんのでゲーッとなりにくく、その後の検査も比較的スムーズです。鼻の中はゼリー麻酔薬の使用により痛みはほとんどありません。検査中は経口内視鏡と違ってドクターと話も出来ますので、リラックスもしやすいといえます。鎮静剤は使う必要がほとんどありませんので、くすりによる血圧低下や呼吸抑制といった危険な副作用も減らすことが出来ます。
ただし、経鼻内視鏡は病気を発見するスクリーニング検査には向いていますが、よりくわしい精密検査(たとえばがんの広がりを調べるなど)には、経口内視鏡検査が必要になる場合があります。また、鼻の穴が狭い方では鼻から入れられない場合があります。その場合、ご了解を得て口からに変更しますが、内視鏡は極細ですので通常に比べて苦痛は少ないといえます。
当クリニックでは予約制で経鼻内視鏡検査を行なっております。まずはお問合せください。
※1 厚生労働省平成17年人口動態統計による。
※2 生検といいます。組織を採ることによる痛みはありません。